(1)社会的要請から |
子どもたちを取り巻く環境は、変革の時代、混迷の時代、国際競争の時代に入り、大きく変化している。この社会の変化に適応し、生きぬくための思考力・判断力・表現力が子どもたちに求められている。しかし、OECD学習到達度調査では、読解力や学習意欲が課題となり、子どもたちの学力低下が問題視された。また、教育水準の維持と学力向上の課題を明確にするために、全国学力調査が開始された。
こうした状況をふまえ、21世紀を生きぬく子どもたちをはぐくむためには、「確かな学力」を確実に身に付けさせ、「豊かな心」を育成することが求められている。 |
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(2)今求められている「伝え合う力」 |
中央教育審議会初等中等教育分科会(国語専門部会)では、国語教育の現状や課題について審議され、「話すこと・聞くこと」に関する教育内容の在り方では、以下のように「伝え合う力」の育成が課題にされている。 |
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(3)本校の教育目標から |
本校の教育目標は「一人一人の子どもの個性を尊重し、自ら学び、自ら考え、主体的に行動できる心豊かな内牧小の子どもを育成する」である。本研究において、互いの考えをいきいきと伝え合う力を子どもたちに培い、伝え合う活動の中で豊かな心をはぐくんでいくことが、本校の教育目標に迫ることになると考える。 |
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(4)児童の実態から |
1、児童の実態から |
本校の児童には、受け身的で指示待ちの児童や、協力して物事をやり遂げることが苦手な児童が少なくない。また、自分の思いをうまく伝えられないで、望ましい友達関係を築けない児童もいる。そこで自分の思いや考えを主体的に伝え、互いを高め合える伝え合う力を培っていくことが必要である。他者を理解し、自分を表現し、社会と対話する手段となる伝え合う力を国語科を中心にはぐくめば、「確かな学力」を育成する基盤になるとともに、心豊かな子どもの育成になると考える。
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2、児童へのアンケート調査から |
平成17年6月の児童アンケートの調査結果の一部が以下の表である。 |
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低学年や中学年では意欲的に発表等に取り組めている一方、高学年では話すことや発表することに苦手意識をもつようになってきている。このことから、低学年の段階から系統的に伝え合う力の育成を図れば、高学年の段階でも抵抗感なく進んで伝え合う活動に取り組むことができるようになると考える。 |
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3、熊本県学力調査の結果から |
平成17年度と18年度の熊本県学力調査結果を比較すると、「話すこと・聞くこと」の領域で2.2%の伸びが見られた。また、「書くこと」の領域において19.5%の伸びが見られ、各領域のバランスが良い状態にあるといえる。これは、相手意識、目的意識を明確にして伝える工夫をした取組が反映したものと思われる。この結果は、読み取りや聞き取りを目的的に行えば、表現力を高めることを示唆するものと考えられる。 |