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場外ホームランメロン

今から35年ほど前(1985年頃)、白水地区にはおよそ50名余りのメロン農家がいて、 プリンスメロンやアムスメロンで生計を立てていました。
丁度その頃に、農産物の自由化と伴に大店舗法が改正され、 結果、外国産のメロンが店頭に並ぶようになり、 それまで我々のメロンをご愛顧いただいていた都市部の八百屋さんがバタバタと潰れてしまいました。
当然のことながら、50名余りのメロン農家は「イチゴ」や「トマト」に切り替え、10数名まで落ち込み、風前の灯火状態となったのでした。

その頃はホームランメロンという白い品種のメロンを栽培していたのですが、たまに極端に大きなメロンができます。 この大きなメロンを八百屋さんでは特別に販売してくれていたのですが、台頭した量販店では一定の大きさの規格品しか扱わないので 販路が絶たれることになりました。

しかしながら、大きなメロンは味は抜群、どれを切っても糖度が高いので、人にあげるととても喜ばれます。
そこで、流通が閉ざされた極端に大きなメロン(規格外のメロン)を「場外ホームランメロン」とネーミング、産直のみで売り出したのです。



●商品のPRとして
①通常、一株に6個着果するのを3個に制限して大切に育てました。
②こうすることで普通よりも大玉で甘い、高品質のメロンが誕生します。
③店頭では販売しておりません。産直でしか手にできないこだわりの逸品です。
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ネーミングが面白い、ということで収穫作業をテレビで生中継されることになりました。 放送は夕方の5分程度「幻のメロン」と紹介され、レポーターがいかにも美味しそうに食べるシーンがあり、 最後にサラッとJA野菜集荷場の電話番号がテロップで流されました。

撮影が終わり、7・8名の生産者は我が家で反省会をやることになったのですが、もしかしたら電話があるかもしれないので、 JA職員はしばらく集荷場で待機し、その後に我が家に来ることになりました。

反省会は盛り上がり、ただ、JA職員はいつまで経っても来ません。心配になって携帯に電話すると、

「大変です、電話が鳴り止みません」


集荷場に行ってみると、電話線が根元から抜いてあり、通話ができない状態にしてありました。 そこで、丁寧にお詫びを言うしかないと再び繋ぎ、夜遅くまで対応しました。

翌朝、集荷場に行きますと大勢の人だかり、「電話が繋がらないから直接買いに来た」とのこと、 「幻というくらいで、数はわずかしかない」と話しますと、「それなら何でテレビに出すんだ」と怒られる始末、 テレビ(マスコミ)の怖さを初めて味わい、苦い経験となりました。

電話は二日間ほど鳴り続け、選果場にかけても繋がらないので役場や農協にもたくさんの電話があり、 事情を説明していなかったために「お前たちは、いったい何をしでかしたんだ」とのお叱りを受けました。

以後、マスコミ対応は慎重になったことは言うまでもありません。 「場外ホームランメロン」は順調に売れ、少人数ながらも生産を続けています。
「規格外」を「場外」へ、「ピンチはチャンス」の事例と言えるのではないでしょうか。



収穫間際の場外ホームランメロン
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詳しくは白水メロン部会のホームページをご覧ください。


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