農耕情報

施設土壌の維持管理について



 阿蘇地区の施設栽培は、従来の「単棟パイプハウスを2〜3年おきに移動する」というような、いわば「土づくり」に消極的な栽培からハウスを固定するいわば積極的な栽培への転換期にあります。

 確かに圃場を移動させることは「土壌病害の回避」という意味では正解ですが、「施設栽培専用の土づくり」という意味では大きく間違っていました。

土壌病害は、抵抗性品種・接ぎ木・土づくりなどで充分回避できる問題です。



 なぜ土壌管理は必要か 

 連作すると土壌はどう変わるか
(1) 一般に作物を栽培すると、土壌の養分(チッソ、リン酸、カリ、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、ホウ素など)は植物という有機物となって、地上に持ち出される。
6元素については肥料として施用するが、微量元素はほとんど補給されない。
 
(2) 施設土壌では降雨の影響を受けないことや、地表面からの蒸発によって下層から上層への水の動きとなるため、塩類の集積を招くこととなる。
 
(3) 乾燥した状態での機械耕運は、土を圧縮させ、耕土盤の形成や空気相を減少させる。また、土の粒子が小さくなる。
 
(4) 同じ植物を連作すると、微生物相が偏ってくる。

 
 土壌管理をどのように行うか 

 土壌を維持するためには
(1) 物理性を改良する
 連作障害の第一歩として、耕盤による不透水層の形成や細粒化による気相の減少などによって、根が十分に伸長できなくなることがあげれれる。
 土は根の住まいであり、この環境が悪くなれば上部の植物体にも影響が出てくる。これが、化学性や微生物性の悪化にもつながっている。
 土を膨軟にし、不透水層をなくして通気性、透水性、保水性をよくする。
 
(2) 化学性を改良する
 過剰に肥料を施用したり、根からの肥料吸収が悪かったりすると肥料成分が土壌中に残ってしまう。また、作物が必要としないものが残ったりして、バランスも悪くなる。
 土壌中のECが高まれば、作物の根は障害を受け、正常に生育しないばかりか、障害を受けた根は傷を伴うため、土壌病害が侵入しやすくなる。
 定期的な土壌診断により土壌の変化を知り、適正施肥や改善に努めていく必要がある。
 
(3) 生物性を改良する
 同じ作物を連作すると残根などを分解する特定の微生物が増え、単純化を招くことがある。また、乾燥や過湿なども微生物のバランスを崩すことになる。微生物のエサとなる有機物の投入や、土中の空気層や水分を適正に保ち、他種類の微生物が共存できる環境を作ってやることが大切である。




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